外傷性肩関節脱臼とは
外傷性肩関節脱臼は、肩の関節が正常な位置から外れる状態を指します。
これは通常、強い衝撃や外的な力によって引き起こされます。
原因とリスクファクター
スポーツや事故による怪我が主な原因ですが、
既存の肩の問題や遺伝的な要素も関与することがあります。
症状と診断
痛み、腫れ、可動域の制限などがあります。
診断は医師の身体検査と画像診断によって行われます。
治療法
非手術的治療と手術的治療があります。
適切な治療法は患者の年齢、一般的な健康状態、活動レベル、および脱臼の程度によります。
予防策
適切な体のメカニクス、強化エクササイズ、スポーツ時の保護装置等の使用などが挙げられます。
手術の必要性
反復性肩関節脱臼になると、軟骨や靱帯も徐々に傷んでくるため、手術が必要になることがあります。
手術の種類
関節鏡手術
関節鏡を用いて行われ、関節の動きを優先する場合に適しています。
関節切開手術
関節を開いて行う手術で、しっかりとした安定性を求める場合に適しています。
これらの手術方法には、それぞれ長所と短所があるので、
どの手術を選択するかは患者の状態やニーズによります。
手術の目的
手術の主な目的は、関節前方の関節包・関節唇を修復し、関節の安定性を回復することです。
また、重度の骨欠損を伴う患者さんでは、肩関節前面の烏口突起という骨を切り取って、
肩関節前面に移植する手術方法も選択されることがあります。
術後リハビリ
手術直後~約3週間:安静・固定期間
この時期は修復部位の安静・固定期間であり、外固定はスリング装具を使用します。
肩関節の可動域訓練は行えない為、修復部位にストレスがかからない部位の訓練を開始します。
肩甲骨周囲筋の筋力強化、肘関節の屈伸、握力強化、肩関節の動きを伴わない筋力強化を実施します。
術後3週目~6週目
術後3週目から外固定を除去し、肩関節の挙上等の可動域訓練を開始します。
前述したように、肩関節の修復した組織にストレスがかからないように注意して実施します。
また、肩関節の安定化を目的に腱板訓練を開始します。
術後6週目~12週目
この時期は修復部位の癒合が進み、ある程度の強度が期待される為、
可動域訓練は前述で制限していた方向も徐々に開始します。
腱板訓練はセラバンドやペットボトルや自分の腕の重みを利用して、徐々に負荷を増やしていきます。
術後3ヶ月以降
術後3ヶ月を経過する頃から徐々にスポーツ復帰に向けたトレーニングを再開しますが、
まだ選手同士で接触するようなスポーツは禁止です。
術後6ヶ月程度になると、しっかりと損傷具合を確認しながら、
接触や肩を使うようなスポーツを開始していきます。
リハビリ中の注意事項
自己判断で肩を動かさない
痛みが無いからといって無理に動かすことは避けましょう。
肩関節は手術の有無に関わらず、固定により安静にする期間を必要とし、
段階的にリハビリを進めていく必要があります。
具体的なトレーニング方法
腱板トレーニングと肩甲骨安定化エクササイズがあります。
どちらも担当される医師や理学療法士から許可・指導を受けたタイミングで自宅で実施しましょう。
リハビリのポイント
修復した関節唇や靱帯にかかるストレスを回避しながら実施します。
過度になるような肩関節外旋や水平伸展は裂けます。
仕事復帰までの期間
軽作業の場合
術後約2~3ヶ月で仕事復帰が可能となる見込みです。
重労働の場合
術後約5~6ヶ月で仕事復帰が可能となる見込みです。
肩関節脱臼の予防の詳細
筋力トレーニング
肩周囲の筋肉を強くして、素早く反応できるようにトレーニングすることが重要となります。
具体的には棘下筋や小円筋を鍛えるエクササイズが有効です。
スポーツでの対処
スポーツによっては、その動作に脱臼し易い状況になることがあります。
その予防にフォームの修正やスキルアップも大事になってきます。
動作に気を付ける
脱臼し易い位置、角度、動作を頭に入れて、そこに腕をもっていかないことが大切です。
例えば、腕を後ろに引く動作や外側に捻る動作は脱臼し易いため、注意が必要です。
自己判断せず、医師や理学療法士と相談する
再脱臼を防ぐ為にも、しっかり相談して、完全復帰を目指しましょう。
痛み止めを飲んでも大丈夫?
痛みを和らげるために、痛み止めを服用することは一般的には問題ありません。
ただし、以下の点に注意してください。
医師の指示
痛み止めは医師の指示に従って、適切な量を服用してください。
副作用
痛み止めには副作用がある為、異常を感じた場合はすぐに医師に連絡してください。
薬の種類
すべての痛み止めが肩関節脱臼に適しているわけではありません。
医師に相談し、適切な薬を選んでください。
まとめ
外傷性肩関節脱臼とは、肩の関節が正常な位置から外れる状態で、
スポーツや事故による怪我が主な原因です。
治療法は非手術的治療と手術的治療があり、
手術の種類には「関節鏡手術」と「関節切開手術」があります。
手術の目的としては、関節の安定性を回復することです。
手術後から約6ヶ月にわたって段階的にリハビリを行います。
可動域訓練、筋力強化、腱板トレーニングなどがあります。
今回は、外傷性肩関節脱臼について、
その原因、症状、診断、治療法、リハビリ、予防策について解説しました。
外傷性肩関節脱臼は深刻な問題であり、適切な治療と予防が必要です。
このブログがその一助となれば幸いです。
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